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エッセイ

2007年2月21日 (水)

「品格ある知性」を作る22の方法

品格ある知性をつくる24の方法 Book 品格ある知性をつくる24の方法

著者:林 望
販売元:青春出版社
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題名だけを見たならば、まず間違いなく敬遠してしまいそうな題名です。

そもそも「品格ある知性」とは何ぞや?と問いかけたくなってしまう所なのですが、それでも中身を見ずに真っ先に購入してしまったのは、単にこの本の作者が敬愛(勝手にしております、すみません)する林望先生であるから。

そう、この先生の処女作「イギリスは美味しい」が発表されてからの密かな私、ファンであります。

(一応、ほぼ先生の著書は逃さぬように追ってはおりますが・・・でも最近はもれがかなり多いです・・・すみませぬ)

この先生、イギリスをかくもや、とばかりに紹介されている方ではありますが、元を正せば立派な国文学者。

しかも書籍に関する一角の書誌学者先生であらせられる。

(私、先生の著書を拝見するまで『書誌学』などという分野がこの世にあることすらも知りませんでした・・・・ほんに学問の世界は深く、自分の知識は浅すぎる・・・)

また、この著書でも触れられてらっしゃいますが、この先生の凄いところは、今の自分のアイデンティティを作り上げるまでの途方もない努力と挫折の数々を乗り越えてこられたこと。

それだけに、かの先生の書かれる御意見のところどころに「?」と思うことは(そこはそれ、お互い人間なので)あるけれど、それでもその反対意見にすらも「ほほう・・・」と言わしめてしまう何かがあります。

以前より、これらの文章の数々はこの先生が持ってらっしゃる深い知識の中より出でて、またそれらの深い知識というのは、この先生が積み重ねられてきた確かな足跡からもたらされているのだな、というのは以前より数々の著書にて推察させて頂いておりましたが、それらを裏付けてくれるのが本書、『「品格ある知性」をつくる22の方法』でありました。

表題の「ちょっと、そこのお嬢さん、お坊ちゃん!ほら、これ読んでご覧よ、そうしたら貴方も明日からは知性ある大人に見えるわよっ!」などというような軽薄な題名からはどうして、どうして。

「品格ある知性」というのは、一朝一夕で出来上がるような、生易しいものではない、日々、是修行なのだと改めて知らしめるお話でございました。

(うーん、やっぱりこれ、題名なんとかならなかったものなのかな、林先生(笑))

実際、この本で先生がおっしゃられていることは、如何にして自分の中にある「天命」ともいうべきものを取捨選択していくのか、ということと、その過程において努力を惜しんではいけない、一見、果てしなく遠い、もしかしたら回り道というより永遠に交わらないかもしれない運命の分岐ともいうべき道に否応なしに進ざるを得ないにしても、そこで腐り果ててはならぬ、ということで。

まさに意思軟弱、目の前の小さな石にすっころんでしまったら、もうそこでやる気を失って別の方向へとむいて「ついていなかった、もうやめよう」と寝っころがってしまう自分にとっては、とても強いカンフル剤ともなってくれました。

(そう、人生。楽なもんじゃないとは、かの大昔から言われていることなんですよね・・・分かっているつもりでも実際に自分がその場に立つと、なかなか、どうして。自分だけが悲劇の主人公であるかのような気分に陥りますです、はい。)

それにしても、あの楽しく長閑な、よいことばかりの毎日であったかのように綴られているかの先生の処女作、「イギリスは美味しい」が、実際は彼の人生の中では追い詰められた9回裏、逆転すらも難しいかもしれない最後の代打!といったような状況下で起こっていたことであったなどと、誰が想像できたでしょう ・・・・・・・。

失礼ながらも私はかの著書を拝読したときに、

「あぁ、世の中には何の苦労もなく(特に英語(大笑))、こうやってすんなりと英国の上流知的階級に溶け込める人もいるのだなぁ、うらやましや」

と思っておりました。

(イヤ、本当にこのエッセイ、先生御自身もこの著書の中で述べられてらっしゃいますが、ほんに「善意の塊、長閑でゆったりとした知識階級の生活」といった風情満点な本なんですよね・・・それが実際は後がもうない崖っぷち、寒すぎるほどの光景の中でほんのわずかに与えられた、陽だまり的部分のものだったとは。先生の精神力の強さには本当に感服する次第でございます・・・)

でも実際は倒れこみそうになりつつ書籍と格闘し、しかもそれらが本国にある自分の学問の世界でどういう評価をされるのかも分からず・・・・不安と焦燥、終いには欝に近い状態になりつつも頑張ってらっしゃった。

でもやはりそれこそ、「品格ある知性」の持ち主ですね、そのような状況下においてこそ、理性を失うことなく、むしろ第三者的に分析し乗り越えてこられたのだ、というのを改めて実感させられました。

・・・・・・・・・林先生、貴方はやはり凄いです。

う~~む。まだまだ自分の道は遠いなぁ。

大体、多分20代の林先生が到達したような境地に、その倍近くになっている今の自分がなっていない。

(特に自分が熱望していたはずのポストに自分を飛び越えて後輩がついてしまったとなったら・・・そりゃあ、もう自棄になって私なら安楽な高校教師の道、選んでいると思います、ほぼ確実に、99パーセント・・・・・)

「品格ある知性」の道ははるかすぎるほど遠いものだと言わずにはいられませぬが、それでも地道に一歩ずつ、歩いていこうと心の底から思いました、はい。

問題はそれがどれくらい、長続きするか、なんですけれどね。

ここにこそ、「品格ある知性」が築けるかどうかの分かれ道なんだろうなぁ。

もっと精進しましょう>自分・・・・とほほ。